東京オペラシティ アートギャラリー「梅佳代 UMEKAYO」展

先日、梅雨空の中、東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の「梅佳代 UMEKAYO」展に行ってきました。

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梅 佳代(1981年-)は、石川県出身の写真家です。

老若男女、誰にでも分かり易く、誰にでも好かれる、そういった意味で「国民的 写真家」と言えるかもしれません。

それは、作品自体と、彼女自身のキャラクターから感じられるように思います。

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美術館では初となる本個展は、写真家としての全活動を回顧するような内容となっています。

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会場は、6つのパートに分かれます。

【1】シャッターチャンス Part 1

2002-2012年の作品、10点で構成されます。

市井の人を対象としたストリートスナップ。写真家としての活動期間から厳選された10点が、まずは来場者を迎えます。

来場者の顔は、、みな、皆、ミナ、笑顔+笑顔。声を出さずに笑う、ヒトの群れ。


【2】女子中学生

2000-2001年の作品、17点で構成されます。

大阪の写真専門学校に在学中の作品。仲良くなった近所の女子中学生を、学生寮の自室に招いて撮影。約10年ぶりの公開とのこと。

性に興味津々の、思春期の、中学生らしいといえばらしい、そんなパフォーマンス(というか、悪ふざけ)を切り取ったもの。でも、それをやらせたのは梅佳代なんだと思う。小道具もちゃんと用意しているし。

「やらせた」といっても「やらせ」ではない。そんな感じがするのは、梅佳代と女子中学生との間に、マブダチというか、「この人になら、なんでも見せられる」「アタシら、知ってるもん(本当は知らない)」っていう人間関係が存在したからなんだと思う。

あと、女子中学生の背景に見える、梅佳代の自室の様子も必見。ユニークな視点、センスが窺える。
(超超大判に引き伸ばしたから判読できる。)


【3】能登

2004-2013年の作品、89点で構成されます。

故郷の、市井の人々のポートレイト(一部犬)。

きっと梅佳代のライフワークとなるであろう、故郷能登の定点観測的作品。


【4】じいちゃんさま

1990-2013年の作品、316点で構成されます。

高校時代に、「じいちゃんは撮っとるうちは死なんと思った」のがはじまりとのこと。

2008年に写真集『じいちゃんさま』として発表された内容に、2013年1月までの作品を加えての展示。

ある家族(梅家)の、長期間に亘る、日常のポートレイト。

色々な見方があると思うけど、「メメント モリ(生の素晴らしさ、儚さといった意味で)」な気がするな。


【5】男子

2000-2002年の作品、68点で構成されます。

こちらも、大阪の写真学校在学中に、近所の男子小学生と仲良くなって撮った作品。

曰く、「馬鹿で無敵な」パワーを活写するシリーズ。

このガキどもの気持ちもよ~く分かる。男子小学生とガチで遊んでくれる、ハタチ前のお姉さん(しかも、そこそこ可愛い)なんて、フツーいないし。(カブスカウトやってた頃、リーダー格の女子大生とじゃれて楽しかったのを思い出す。)

まぁ、それが出来ちゃうのが梅佳代の作家性なんでしょうか。


【6】シャッターチャンス Part 2

2000-2012年の作品、69点で構成されます。

インパクトはPart 1の方が上だけど、味わい深い作品が並びます。連作的なものが含まれるのが特徴でしょうか。

「朝起きたときから夜寝るまで全部がシャッターを押す範囲」という写真ビトっぷりから生まれた作品群。


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作品総数、569点。

六つ切りサイズから、数m×数mの超超大判まで、飽きることなく、一枚一枚丹念に鑑賞させるチカラ、ストーリーが、それらの作品に宿っています。展示方法や構成も良かった。

昨年末、同会場で行われた、篠山紀信展「写真力」も見ましたが、そちらは超有名人ばかりが被写体で、もちろん技術レベルや撮影環境も異なるため、全く異質の印象でした。企画的な面白さは、共通点の様に思いますが。

梅佳代の写真力は、梅佳代ならではのもの。技術力ではなく、才能や感性を感じるもの。

生み出された作品に、「美も醜も」、「恍惚も不安も」無い。

だけれども、だからこそ、面白い。


ギャラリーショップで、図録を購入。「女子中学生」や「男子」の、「その後(大人になっちゃった)」がシークレットポートレイトとして掲載されているなど、楽しめます。ただ、一部の作品のプリントが、ザラザラのダメダメなのがとても残念。
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太宰の文庫本の表紙(カバー)に、梅佳代の作品が用いられているのですね。びっくり。そういえば、今日(6/19)は、桜桃忌だ。
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いわゆる「写真好き」の方より、、、

「なんか最近つまらない」、
「やる気が起きない」、
「遅めの5月病」、
「笑ってない」、
「いそがし過ぎ」、
な方にお薦め。


会期:2013年4月13日(土)-2013年6月23日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー


展覧会公式サイト(作品のいくつかをご覧いただけます)
http://www.operacity.jp/ag/exh151/


余談ですが、、
梅佳代のメイン機材は、CANON EOS5という銀塩フィルム一眼レフカメラ(*)で、これには「視線入力オートフォーカス」という特殊なシステムが備えられています。「構図は気にしない」という梅佳代ですが、これによって「はっとする瞬間」を、梅佳代「目線」で切り取った独特のスナップが生まれているのかなぁなどと思いました。事実、何に「はっとしている」かが、作品を見れば分かる(共有、共感できる)ので。
(*)プラス標準レンズで、撮影はPモードオンリーだそうです。







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