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zoom RSS バーンストーマーズ ロード ステイク リストレット ”レッドホット ペニー” (前編)

<<   作成日時 : 2015/09/12 23:55   >>

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今夜は、バーンストーマーズの新作アクセサリーをご紹介いたします。


◆Early 1930s Hand-Hammered Road-Stake Wristlet "Red-Hot Penny"


バーンストーマーズのスペシャルインターヴァル企画、<OFF THE ROAD / 'BO'S EXPRESS>。
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今夜、遂にデビューを飾る<OFF THE ROAD / 'BO'S EXPRESS>の第一弾は1930年代初頭のCOPPER(銅)製のプレートリストレット、人呼んで<Red-Hot Penny レッドホットペニー>だ。
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 リヴェットや釦等の素材としては頻繁に用いられる一方で、銅は、装身具のメインマテリアルとしては現在ほとんど使われる事がない。地金としての銅は、銀より安価で真鍮より貴重。しかし昨今の高騰ぶりは「銅線や建築資材の銅板の盗難多発」等の報道でよく耳にする通り、顕著である。

 <アカガネ>の和名が示すよう、この艶かしい赤色が特徴的な金属は、自然界では銀に次いで熱伝導性、電気伝導性に秀で、加えて、打撃や引き延ばし等の加工に耐える抜群の弾性から、電線やモーターのコイルを筆頭に鍋釜炉等の加熱器具や硬貨鋳造の原料として欠かせぬ存在だった。神から与えられたマジカルな機能、そして加工し易さゆえに愛されたカパーは、紛れもなく古代から人類文明を支えてきた聖なるマテリアルのひとつである。


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 銅の硬貨すなわち銅貨といえば、アメリカの1セント貨<PENNY>がまずアタマに浮かぶ。が、もともとペニーは英国の正式な通貨単位で、現在は十進法に改められたものの、かつて1ペニーは<1シリングの12分の1>、<1ポンドの240分の1>だった。英国から新大陸に渡ったペニーは1セント銅貨の愛称となり、やがて「はした金」や「一文無しの…」、「小銭すら…」といったニュアンスで最少単位の金額を表す<蔑称>とあいなり…いつしか、庶民の間では<カネ>そのものを指す切ない隠語と化したのである。銅貨の表面に時間の経過とともに現れるカッパーラスト、いわゆる緑青の侘び寂びが、ひときわ心情を揺さぶる素材である。

 余談ではあるが、そんなアメリカの1セント硬貨も1982年以降、銅の高騰によって<97.5%亜鉛に銅鍍金>と、銅貨とはとても呼べない代物に変容してしまった。「1セント銅貨の生産コストが1セントを大きく超えてしまったのが原因」というのは笑うに笑えない。因みに1793年から1857年までの最初のペニーは銅100%。その後、ニッケルや錫、亜鉛等を加えた様々な銅合金のペニーが産み落とされた。アメリカ史をペニーのクロニクルと重ねて見るのも面白い。

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 さて、時代は1930年代である。使い物にならなくなった生活用具…たとえばパンハンドル(鍋の柄)やジャンクヤードに山積みになった廃車の部品等、タダで手に入れたガラクタに自らハンマーや釘やナイフをふるい、世にも稀なる工芸作品をこしらえてしまった人々がいた。彼等、名もない路上のアーティストたちが珍重したマテリアルが、他でもない銅だった。

 原材料と言っても、つまりは拾い物、要するに世の中から見棄てられたクズである。人々が無用になって棄てた文明のゴミである。錆ついた道具や路上の拾いものを再生し、後にアートと呼ばれるモノに昇華させてしまったのが大恐慌時代に息づいた<さすらい精神>の凄み…とはいっても、贅の限りを貪った20年代の牙城が一気に崩れ、瓦礫の荒野には文明の破片やら死骸やらがしこたま転がっていたのだから、職にあぶれた宿無しとはいえ、ネタ探しに窮する事だけはなかったのかも知れない。

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 19世紀の末まで、日常生活の美徳としてフロンティアを支えてきたリビルド(改造)、リサイクル(再生再利用)という哲学、そう、アメリカの大草原や山中や砂漠で育まれた崇高な生活者の精神は、もはや朽ち果てていた。大量生産/大量消費/大量廃棄の甘い生活にドップリ浸かった当時の白人社会…とりわけ北部の都市生活者たちは、新天地に渡ってきた家族の轍が刻まれた<荒野の記憶>を、忘却の彼方へと棄て去っていたのである。

 アメリカ社会の最下層で蠢く黒人たち、先住民、土地を逐われた中西部の小作農たち、臨時雇いを求めて遍歴する移動労働者たち…30年代初頭の荒んだアメリカをさすらう一文無したちは、今日を生きる為にガラクタを拾い、新たな生命を吹き込み身に付ける…言わば彼等こそ、リサイクル思想の再興者であり開拓者精神のリビルダーだったのだ。

 彼等の作品は銅線や銅板やニッケル板を、ただ切断したり曲げたりしてこしらえた、いかにも素人臭くて粗雑な…否、実に質素な指輪、バングル、ペンダント、釦、チェイン等が大半を占めている。が、中には精巧な細工を凝らした、言葉は悪いが「装身具として立派にショウウィンドゥを飾り得る」かに思える独創的で優れた意匠が眼を惹く逸品も少なくない。

 ネジや歯車を金型代わりに駆使した、ナヴァホインディアンかと見紛うほどのスタンプ技法。釘やナイフを用いたハンドメイドならではの荒々しいスクラッチ描写。ときにはナケナシの、破れかけたパンツのポケットからひねり出したペニー貨や<ニッケル>と呼ばれる5セント白銅貨を、延ばしたり叩いたり熔接したりとアイデアを凝らしては装飾に用いたりもした。秘かにレールに金属片を寝かせ、疾走するキャノンボール(特急“弾丸”列車)にプレスしてもらうという言語道断もってのほかのスペシャルメソッドも、何も所有せず何にも縛られない<無主無縁>の彼等ならではの自由な想像力の賜物だろう。

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 明日をも知れぬ放浪生活の渦中にあって、何故彼等は装身具をこしらえたのだろう。創作の動機や衝動のカタチは様々だろうが、それは時間を持て余した風来坊の道楽やヒマ潰し等ではけっしてなかったと、コレだけは断言出来る。

 列車のただ乗りを繰り返しながら荒野を彷徨い街から街へ、流れ着いた見ず知らずの土地でその日暮らしの糧を貪り、僅かな日銭を使い果たせばまた貨車に飛び乗り、日雇い仕事を求めて旅に生きる…そんな、まさに<板子一枚下は地獄>といった無常観が漂う漂泊者たちの哀しみ、歓び、怒り、そして、見果てぬ夢…。

 <HOBO(ホーボー)>と呼ばれる流れ者は30年代アメリカを写す影法師だ。そして、ガラクタでこしらえた、お世辞にも上等とは言えない自前の装身具は、彼等にとっては独立自尊のスピリッツを宿す名誉勲章のようなもので、神秘的なチカラを秘めた<道中安全>のお護り…たとえ今の境遇がどうであれ、たとえ暫くは砂嵐が吹き荒む地獄の日々が続くとしても、いつかまたかならずや燦々と降り注ぐ太陽の光をあつめ、約束の地へと向かう荒野のケモノ道に希望のかがり火を灯してくれる…そんなチャーム(呪いもの)の役割を果たしていたと、思えてならないのだ。名も無きホーボーのガラクタ芸術家たちがとりわけ銅、カパーを愛したのも、太陽の優しさ、焚火のあたたかさ、そして人肌のぬくもりを、今にも孤独に押しつぶされそうな彼等の魂に伝えるその伝導性ゆえだったのかも知れない。

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 ホーボーたちが使った隠語に<Road-Stake>というのがある。STAKEは「賭け金」とか「物質的、金銭的な援助」といった意味合いだが、動詞になると「命やカネ等を…に賭ける」、或いは「希望を…に賭ける」という風になる。道中いざという時の蓄えを彼等は<ロードステイク>と称し、靴底かジャケットの裏地に隠し持っていたというのだが、ごく稀に鉄道のグリースやペンキで汚したカパー製のアクセサリーの一部に、秘かにゴールドやシルヴァー等の値打ちパーツを紛れ込ませる抜け目のないヤツも存在した。さしずめ<偽装ガラクタ>である。ペンキでごまかしたお宝は果たして何処から失敬してきたモノなのか…疑念は尽きないところであるが…兎に角、生き延びる為の知恵である。

 大恐慌下の<路上>の情景がすべて刻まれた、血の滲むようなアカガネのガラクタアート。ニューヨークは五番街のティファニー宝飾品店では絶対に手に入らなかった30年代アメリカの至宝…<Red-Hot Penny>を手首に巻いて、いざ旅に出ようではないか。
(バーンストーマーズ)



(つづく)


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通販に関しては、下記ブログ記事をご参照願います。
http://brywb.at.webry.info/200905/article_7.html




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